2011年02月24日
伝染性紅斑とは
最近、受診が増えているりんご病。正式名称伝染性紅斑。
病気の知識をふやしておきましょう!
伝染性紅斑、頬に出現する蝶翼状 の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患である。
両頬がリンゴのよう に赤くなることから、「リンゴ病」と呼ばれることもある。
疫 学
感染症発生動向調査によると、5年 ごとの流行周期で発生数の増加がみられている。年始から7月上旬頃にかけて症例数が増加し、9月頃症例が最も少なくなる季節性を示す。同調査で得られた患者 の年齢分布では5~9歳での発生がもっとも多く、ついで0~4歳が多い。成人における発生状況の詳細は不明であるが、臨床の場ではし ばしば経験され、看護学生・看護師などの病院内感染による成人での集団感染事例の報告もある。
病原体
パルボウイルス科パルボウイルス亜科エリスロウイルス属に属するヒト パルボウイルスB19である。
臨床症状
写真1.両側の頬に出現した蝶翼状の発疹
写真2.上肢伸側に出現した発疹
10~20日の潜伏期間の後、頬に境界鮮明な紅い発疹が現れ(写真1)、 続いて手・足に網目状・レ-ス状・環状などと表現される発疹がみられる(写真2)。
発疹は1 週間前後で消失するが、なかには長引いたり、一度消 えた発疹が短期間のうちに再び出現することがある。
成人では関節痛・頭痛などを訴え、関節炎症状により1~2日歩行困難になることがあるが、ほとんどは合併症をお こすことなく自然に回復する。
発疹が出現す る7~10日くらい前に、微熱や感冒様症状などの前駆症 状が見られることが多いが、この時期にウイルス血症を おこしており、ウイルスの排泄量ももっとも多くなる。発疹 が現れたときにはウイルス血症は終息しており、ウイルス の排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失している。
伝染性紅斑は典型的なB19感染症の臨床像であるが、B19感染症の臨床像は単に伝染性紅斑にとどまらない。溶血性貧血患者がB19感染を受けると重症の貧血発作を生ずることがある他、関節炎・関節リウマチ、血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群や、免疫異常者における持続感染なども伝染性紅斑に合併、あるいは独立してみられる。
胎児感染-胎児水腫
B19感染症で注意すべきものの一つとして、妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流 産がある。
妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に生ずる ことが報告されているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずるとの報告もあり、安全な時期につ いて特定することはできない。しかし一方では、妊婦のB19感染が即胎児の異常に結びつくも のではなく、妊娠分 娩の経過が正常で、出生後の発育も正常であることが多い。さらに、生存児での先天異常は 知られていない。したがって危険性は少ないが、超音波断層検査な どで胎児の状態をよく把握することが必要である。
治療・予防
特異的な治療法はなく、対症療法のみである。免疫不全者における持続感染、溶血性貧血患者などではγ-グロブリン製剤の投与が有効なことがある。
前述したとおり、紅斑の時期にはほとんど感染力がないので、二次感染予防策の必要はない。また、ウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないので、実際的な二次感染予防策はない。妊婦などは、流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避け、万一感染した場合には、胎児の状態を注意深く観察する。
学校保健法における取り扱い
伝染性紅斑は学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定はされておらず、一律に「学校長の判断によって出席停止の扱いをするもの」とはならない
(国立感染症研究所感染症情報センター 多田有希 岡部信彦)参照
病気の知識をふやしておきましょう!
伝染性紅斑、頬に出現する蝶翼状 の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患である。
両頬がリンゴのよう に赤くなることから、「リンゴ病」と呼ばれることもある。
疫 学
感染症発生動向調査によると、5年 ごとの流行周期で発生数の増加がみられている。年始から7月上旬頃にかけて症例数が増加し、9月頃症例が最も少なくなる季節性を示す。同調査で得られた患者 の年齢分布では5~9歳での発生がもっとも多く、ついで0~4歳が多い。成人における発生状況の詳細は不明であるが、臨床の場ではし ばしば経験され、看護学生・看護師などの病院内感染による成人での集団感染事例の報告もある。
病原体
パルボウイルス科パルボウイルス亜科エリスロウイルス属に属するヒト パルボウイルスB19である。
臨床症状
写真1.両側の頬に出現した蝶翼状の発疹
写真2.上肢伸側に出現した発疹
10~20日の潜伏期間の後、頬に境界鮮明な紅い発疹が現れ(写真1)、 続いて手・足に網目状・レ-ス状・環状などと表現される発疹がみられる(写真2)。
発疹は1 週間前後で消失するが、なかには長引いたり、一度消 えた発疹が短期間のうちに再び出現することがある。
成人では関節痛・頭痛などを訴え、関節炎症状により1~2日歩行困難になることがあるが、ほとんどは合併症をお こすことなく自然に回復する。
発疹が出現す る7~10日くらい前に、微熱や感冒様症状などの前駆症 状が見られることが多いが、この時期にウイルス血症を おこしており、ウイルスの排泄量ももっとも多くなる。発疹 が現れたときにはウイルス血症は終息しており、ウイルス の排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失している。
伝染性紅斑は典型的なB19感染症の臨床像であるが、B19感染症の臨床像は単に伝染性紅斑にとどまらない。溶血性貧血患者がB19感染を受けると重症の貧血発作を生ずることがある他、関節炎・関節リウマチ、血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群や、免疫異常者における持続感染なども伝染性紅斑に合併、あるいは独立してみられる。
胎児感染-胎児水腫
B19感染症で注意すべきものの一つとして、妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流 産がある。
妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に生ずる ことが報告されているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずるとの報告もあり、安全な時期につ いて特定することはできない。しかし一方では、妊婦のB19感染が即胎児の異常に結びつくも のではなく、妊娠分 娩の経過が正常で、出生後の発育も正常であることが多い。さらに、生存児での先天異常は 知られていない。したがって危険性は少ないが、超音波断層検査な どで胎児の状態をよく把握することが必要である。
治療・予防
特異的な治療法はなく、対症療法のみである。免疫不全者における持続感染、溶血性貧血患者などではγ-グロブリン製剤の投与が有効なことがある。
前述したとおり、紅斑の時期にはほとんど感染力がないので、二次感染予防策の必要はない。また、ウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないので、実際的な二次感染予防策はない。妊婦などは、流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避け、万一感染した場合には、胎児の状態を注意深く観察する。
学校保健法における取り扱い
伝染性紅斑は学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定はされておらず、一律に「学校長の判断によって出席停止の扱いをするもの」とはならない
(国立感染症研究所感染症情報センター 多田有希 岡部信彦)参照
Posted by
大津の町の小児科医
at
19:33
│Comments(
2
) │
病気のお話
この記事へのコメント
この記事に見覚えありませんか?
↓ ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/23327203.html
ご自身の文献で記事をお書き下さい!
今後、チェックさせて頂きます。
↓ ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/23327203.html
ご自身の文献で記事をお書き下さい!
今後、チェックさせて頂きます。
Posted by アットランダム at 2011年02月24日 20:33
アットランダムさん
ブログの記事は初めて見させていただきました。感染症情報センターの内容を参照させていただきたので、参照の記載を追加させていただきました。ご指摘ありがとうございました。
ブログの記事は初めて見させていただきました。感染症情報センターの内容を参照させていただきたので、参照の記載を追加させていただきました。ご指摘ありがとうございました。
Posted by 大津の町の小児科医 at 2011年02月24日 23:44